(再掲)私の制作に影響を与えたであろうものについて
- 夏月 岩本
- Jan 16
- 3 min read
私の制作はかなり直感的で即興的な面が強く、何か(社会的な)メッセージやモチーフを表現するというよりも、無意識や日常の経験の断片を引き出すことそのものについてであると思う。
ここでは私の「興味」や影響を受けたかもしれない事柄を列挙しておきたい。(自分の制作を理解してもらうためーあるいは自分が思考整理をするためのノートとも言える。。)
ー日本的な美学
もののあはれや浮世的な、諦念、現実との距離感、(矛盾するようにも思える)現実の実体感を行き来するタイプの美的感性。
可愛いという概念ーアブジェクト(ジュリアクリステヴァ?)の概念も関連していると思う。未確定的なものや干渉者の同情、没入を誘うもの。
装飾的文化、絵画の存在の曖昧さ…例えば工芸的オブジェクトの上に展開されている絵とか、文字と絵の自然なコラボレーションとか、そういうものも、表現そのものにおいても芸術観や作品の扱いというメタなレベルでも繋がりがあるかもしれない。
ードローイング
主に二つの方向から興味がある。一つは「弱い」「カジュアルな」ニュアンスを持つ絵画制作…というニュアンス。ドローイングってカテゴリの副詞・形容詞的なニュアンスは上記のコンセプト(制作のイメージ)や日本美学の話と共鳴していると思う。もう一つはペインティング・タブローと比べて基底材の自由があることで、イメージとイメージの定着されるオブジェクトの物理的特徴や社会的、身体的連想性が重なり合う面白さに惹かれているということ。
他にもドローイングに関連したマークメイキング、時間性とかの要素にも興味はあるが、それが私の制作に取り立てて重要かはわからない。
ー(日本の)ポップカルチャー
漫画的な視覚言語は言うまでもない。また音楽やアニメにおいて独特の軽く散乱したリズム感が養われたと感じている。
ーマイクロポップ
松井みどりさんの提唱した美術の傾向。そもそも松井みどりさんの本で美術入門した部分もある。。些細なことから世界の真理や深層心理にアプローチしたり、日常の中に自分の美学をささやかに構築していく。そのイメージに共感するし引用しているコンテキストにはほほうとなるし例挙されている作家さんたちも好きだなと思う、
ー離人的なもの、多少鬱的なもの あるいはメランコリー
離人感への対処というのは自分の制作において核に近いところにあるのではないかと思うことがある。現実との距離感に対してどうにかしようとしたりしなかったりして絵を描いたり何かを作ったりしている。それはあるときは少し過激に身体感覚や精神を傷つけるふりをすることで実感をえる、という自傷行為やカタルシスっぽい形で現れ、ある時はツーンとした現実、夢もうつつもよくわからない感覚をそのまま昇華している部分がある。それはメランコリーとかノスタルジーに近づく、結構クセになる味であるが、なんで心地よいのか、それは現在も検証中。精神や無意識全般、そしてそれがどのように芸術に表れ芸術がどのようにそれを癒すのか、そういった基本的なことにやはり興味があると思う。
ー断片、周縁、ノイズ
これはまたコンセプト(制作のイメージ)の部分に戻ってしまうけれど、精神や日常生活の中のノイズ的な部分、断片、周縁にフォーカスを当てることへの興味
ー皮膚
それは境界的なもののメタファーでもあり、自傷行為の対象の場でもあり、、
ーその他、アート制作に直接関係あるかわからないけど、食(と健康、ヒーリング、メンタル)への興味;特に薬膳とか。そしてファッション。単純に色々日常的にコーデするのも好きだし、多分皮膚への興味や工芸とアートの交わりみたいな部分でも興味を持って観察することがある。
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